2014〜2015年の日本誌で『WAR ETERNAL』は、メロディック・デス・メタルを別ジャンルへ変えた作品というより、ARCH ENEMYが従来の核――極端な重さ、攻撃的なスクリーム、クラシック・メタル由来の叙情的ギター――を保ったまま、新ヴォーカリストと新体制に適応させた“再定義”として論じられた。特に、Angela Gossow期の継承とAlissa White-Gluzの加入を同時に抱えた制作過程が、更新の中心だった。
PERIOD CONTEXT当時の文脈
更新の第一点は、ヴォーカル交代を単なる交替劇で終わらせず、バンドの表現原理を組み替えたことにある。制作曲の約半分は当初Angelaを想定し、残りはAlissa加入後の体制を踏まえて調整されたため、アルバム全体が旧体制から新体制への境界線上で作られた作品と位置づけられた。ここで重視されたのは、Alissaの多彩な能力を全面的に展開することではなく、ARCH ENEMYではあえてアグレッシヴなスクリームを中心に据える判断だった。 第二点は、“重さ”と“メロディ”を対立させず、両方を極限まで押し出す従来の理念を、新しい歌い手の個性によって再稼働させたことだ。Michael Amottが示していた「史上最もヘヴィかつメロディックなバンド」という出発点に照らすと、『WAR ETERNAL』の新しさは、クリーン・ヴォーカルを増やして広げる方向ではなく、攻撃性を維持したまま、ツイン・リードや歌うギターの叙情性をより強固に結び直す方向にあったと読める。 したがって当時の日本誌的な評価軸では、革新性はリズムやジャンル語彙の断絶的な刷新よりも、女性エクストリーム・ヴォーカルの象徴だったAngelaの後任にAlissaを据え、ARCH ENEMY固有の“ヘヴィさとメロディの同居”を失わずに世代交代を成立させた点にあった。2015年にはAlissaの存在自体が女性メタル・アーティストの可視性や新世紀以降のシーン変化を語る文脈にも接続し、作品の更新がバンド内部だけでなく、日本での受容のされ方にも波及していた。
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EVIDENCE根拠メタ情報
- BURRN!WAR ETERNAL・旧体制と新体制をまたぐ制作方針ARCH ENEMY・AngelaからAlissaへの転換と作品の位置づけAlissa White-Gluz・多彩な声質とスクリーム主体の方針
- BURRN! 2015年6月号・Alissaを含む女性メタルの可視性
CONFIDENCE確度
中
NOTES注意点
作品の評価は、点数やレビューの連続比較よりも、メンバー交代・制作理念・女性エクストリーム・ヴォーカルの受容という論点から捉えるのが適切である。したがって、当時の誌面評価を現在の定説や後年の再評価と同一視することはできない。