BLACK SWANが示した「新しさ」は、80年代型ハードロック/メロディック・ヘヴィ・メタルの様式を捨てずに、スーパーグループ的な企画物を本物のバンドとして成立させた点にあった、と評された。つまり、音楽語法そのものが前衛的だったのではなく、ベテランの組み合わせから予想される単なる寄せ集めを越え、全員の作曲参加と強い演奏によって、2020年代にもダイナミックで説得力あるハードロックを作れることを示したのである。
PERIOD CONTEXT当時の文脈
2020年の評価では、BLACK SWANはロビン・マッコーリー、レブ・ビーチ、ジェフ・ピルソン、マット・スターという実績豊かな奏者を集めたFrontiers系プロジェクトとして紹介された。ここで注目されたのは、外部ソングライターやプロデューサーが主導する典型的なプロジェクト作品ではなく、ロビン、レブ、ジェフの3人が全曲を書いたことだった。そのため、企画先行の“スーパー・バンド”ではなく、メンバー間の相性が生むバンド感として受け止められた。 作品の音楽性は、80年代スタイルのメロディックなヘヴィ・メタル、あるいはオーセンティックなハードロックと整理された。新鮮さは、古典様式を現代風に解体したことではなく、そこへ現役感のある演奏、厚い音圧、ドライヴ感、ロビンの伸びやかな歌唱、レブの流麗なギターを結びつけたことにあった。雑誌の語り口には、メンバーの知名度から想像する以上に“メタル”で、しかもエキサイティングな仕上がりだったという意外性がある。 したがってBLACK SWANの2020年代的な意義は、「新しいジャンルを発明した」ことではなく、過去のメロディックHR/HMを懐古趣味だけにせず、熟練者の共同作業と強いバンド感によって現在形へ戻した点にある。これは、同時期に見られた“クラシックなロックの再活性化”の一例だが、BLACK SWANの場合は若返りよりも、ベテランの経験を新編成の化学反応へ転換したことが特色だった。
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EVIDENCE根拠メタ情報
- BURRN! 2020年3月号p.155・企画物を越えるバンド感と古典的HRの推進力p.163・一流奏者の結集と規格外の破壊力を強調
- BURRN! 2020年5月号p.49・外部主導でなくメンバー作曲で制作した経緯p.48・実力派メンバーによる充実したデビュー作の位置づけ
CONFIDENCE確度
高(high)
NOTES注意点
ここでいう「新しさ」は、サウンドの革新性というより、古典的なHR/HMを2020年の制作環境と新編成で成立させた意義を指す。当時の評価も、ジャンル刷新より演奏力・作曲体制・完成度に重点を置いている。